(ああ、しまった) ホワイトアウト パアン、と小気味良い破裂音が薄暗い部屋に鳴り響いた。当の私はその音にハッとするわけでもなく、破裂音の音源であるたった今力いっぱいはたいた彼の頬の赤味にすこし羨ましさを覚える。 (奇麗だ) ゆっくりと彼は私の方に目を向けた。骨ばった指の細い大きな手を頬に当てる。さするわけでもなく、頬に当てた。ひんやりとした温度が何故か私にも伝わってくるようだった。 (素敵だ) 別れるって言わないの。そう私は目で語りかけてみる。精一杯に。彼は青い目で返事をよこした。今更だな。私は薄く笑う、彼も薄く笑う。下らぬ意地の張り合い。なんて、 (馬鹿だ) どちらとも先に行動を起こそうとしない、それでいて相手を先回り。私たちはそういうずるがしこく、それでいて本当に馬鹿な生き物なのだ。透き通る気持ちで答えたいのだ。夜を飲み込んでみたいのだ。二人とも。それでいてやはり、 (愚かだ) 言葉を交わす代わりに殴りあう。言葉を交わす代わりにキスをひとつ。言葉を交わす代わりに毎夜毎夜絶頂に上る。これでは言葉の意味が無いのだ。私たちは人間でないのかもしれない。 (愛しい) 期待などしていない。全て消えればいい、だなんて。女が泣けば男は嗤う?男が笑えば女は哂う?言葉なんて私たちには必要ではない。そういえば簡単な話、でもそんな高等なものではなくきっとそこらを這い回る蟲と私と彼は (同じだ) It is coming. Its so coming. Never interrupt me, who the fuck are you? I am so tired. You are pissing me off. But it doesn't mattar, we are lenient, you see. |