「あっとべおたんじょーびおめでとー」
・・・は?















































今日は愛しい愛しいダーリンの誕生日!!なので朝イチで学校来て・・って思ったのだけれどやっぱり遅刻してしまった。うーん、はたして私は義務教育を終わらせることができるのか、ちょっと心配だったりもするけれど、しょうがない。起きれないんだ。
生徒指導のいる校門を強行突破し(ゴメンセンセー今日は見逃して!!)、玄関から右手の階段を三階昇り(ここで息切れが始まる私は相当ヤバい。運動不足・・)、渡り廊下を走って(チクショーなんでこの学校ムダに広いの?!)、角を左に曲がって三つ目(ダーリン待っててね!!)、そんで教室のドアすっぱーん!!て開けて(現国の先生がこっち睨んでた)、あたしの席の前の跡部にツカツカと歩み寄る(実は二学期から私は跡部の後ろなのだ!いつでも見れるし超ラッキー!!)、そしてズイッと袋を跡部の顔の前に出して一言。












「あっとべおたんじょーびおめでとー!」











さあ跡部!感謝するがいい!!アンタのために全力疾走した私に感謝するがいい・・って、あれ?なんか跡部顔険しくない?眉間に皺だし。あれ?っていうか、険しいって言うか目が哀愁に満ちてるんですけど??しかも口半開きだし。ヨダレでちゃうよ?まぁそんな跡部もかわいいけどー

















「可愛くねえ、っつか涎出してねえから」
「ええっ跡部ったらエスパー?!キャー!はれんちでござるー!!」
「(・・・なんなんだこいつは・・・)・・・お前さっきから高速で口走ってたからな。何がハレンチだ、殺すぞ」
「こ!ころすって!!せっかくあたしがおたんじょうび祝ってあげてるのに!!」









「・・・、」
「(・・・ええっ、なに?!な、なに?!)は、はい」


























「お前彼氏の誕生日も覚えらんねえほど頭悪いのか?」














・・・・・・・・??


























「パ、パー、パーズン?」
「・・・?Pardon?か?」
「あ、そうです、それです、パードゥン?」




「今日は何日だ?」
「?え?10月15日でしょ」
「・・俺様の誕生日は何日だ?」
「は?だから、今日でしょ?跡部自分のたんじょうびもおぼえらんないの??」
「(コイツマジで殺してえ)・・・4日」
「?は??」



















ブツン





















「(あれ?なんかいまブツンって聞こえた)」
「お れ さ ま の た ん じ ょ う び は じ ゅ う が つ よ っ か だ 」














・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・































「えー、うっそだー。ないない、ないって」
「(イヤイヤ何がないだよ!!)俺様の誕生日を俺様が間違えるか!このド アホ!!!」
「(いまドって強調した!ド、って強調した!!!)えっえっえっえっ、ええ??」
「俺の誕生日は4日だ!!!」
「・・・?あれ・・?4日って忍足の誕生日だよ」
「・・忍足の誕生日は今日だろ・・」
「えー?うっそだぁ。アタシ4日にプレゼントあげたら『おぉぅーきにぃっひぃ』ってゆってたもん」
「(声を真似すんな・・マジキモい・・)・・何あげたんだ、ソレ・・」
「チロルチョコひとつ」
「・・あのなぁ・・それをなぁ・・(あーもう疲れてきた・・)誕生日のプレゼントだとな・・誰が、思うんだよ・・・」
「だって新発売だったもん」
「(・・もうなんなんだコイツは・・・俺は4日じゅうこんな奴からのプレゼントがないことを気にしてたのかよ・・あー・・もう馬鹿らしい・・)・・・はぁ・・・」
「(なにそれ!あたし悪くないじゃん!忍足コロス!!・・うーん、でもやっぱ・・・)・・・・ご、ごめん」
「・・・」
「・・・ご、ごめんね。アタシほんとに知らなくて、さ、元からたんじょうびとか祝うキャラじゃないしさ、でも、跡部のはちゃんと気にしてね、お金とか貯めたりしてね、ちゃんと買ったんだよ」
「・・・・」
「・・ごめんね」
「・・・・ん」
「(あ、眉間のシワ一本消えた)・・・・跡部、」
「なん、      」














跡部はガッターンとイスも机も弾き飛ばしてバネみたいに立ち上がった。唇をおさえてて、顔はまっかっかで、トマトみたいで、ちょっと女の子みたいだった。「バッ、お、お前・・!」跡部ってマジツンデレだよねー、と思っていると跡部の赤い顔が一瞬にして青くそまる。なんだろうと思ってアタシも周りを見渡した。口を半開きにしたクラスのみんなの顔と、ちょっとカツラがずれてた現国のセンセの顔がこっちに集中してて、あ、そうだ、今アタシ授業中だったんだと思った。「ちゃんやるーう」、なんだか寝ぼけた声の方を見ると、ニヤニヤしたジローの顔があった。ツンデレ跡部は金魚みたいに口をパクパクさせて、違う、とかわけわかんないこと口走ってるし。かわいいなあ、もう。みんなの前で唇にキスしたぐらいでなんだっていうのさ。まったくもう。














「あは、ごめんごめん」
もう一度無理やり奪ったら、ジャストタイミングでチャイムが鳴った。



















「で、跡部にあげたプレゼントは結局何やったん」 「コンビニの新発売お菓子詰め合わせ!!」 「(・・・跡部・・・)」