「せや、あたし昨日謙也とエッチしとる夢見たわ」















へえーそうかいな、おまえとおれが。へえー・・・・・・





って、はあ?!












ブバッハアとマンガみたいにコーヒー牛乳を噴出した俺(ああ・・せっかく一氏にテスト勝っておごらせたのに・・さよなら俺の愛しのコーヒー牛乳、の、一部ちゃん。・・)にまっっったく構うことなくは一人うんうんと頷きながらしゃべりよる。(だいたい何にうなずいとんのや、じゃなくて、なに、おれと、が?なんやて?)



「いやー謙也以外とアレやね、アレ」
「ちょ、いや待ちぃ、何やアレて、いや、ちゃうわ、何て?自分いまなんていうた?」
「なん、もっかい言ってほしいん?あたし、夢の中で、謙也と、エ 「うううううわもうええっもうええ」 ッチした、よー」「ええ言うとるやんけー!」
ほんまなんなんや頼むわ、そういうことは頭ん中しもうとけや、俺に言うなよ・・ほんま・・しかもここ学校やで、休み時間やで、俺ら清く正しく青春まっとうする中学生やで、たのむわ、ほんま、そういう話したら、




「なん?なんかおもしろそうな話しとるの」



ほらー・・千歳来たやないけー・・











「ほー、謙ちゃん意外とベッドの上では暴れん坊将軍やな?」
いやいやいやオッサンかお前は。なんもおもんないぞ。なにやったったみたいな顔してこっち見とんじゃおっさん。おいこらなんもやったってへんぞ。シャ!てなんやそのにぎりこぶしはなんやガッツポーズちゃうおっさんにはにぎりこぶしでええんじゃっておいおっさんそんないまどきの若者みたいなポーズマジ似合ってへんぞ。頼むわーほんま頼むわこっちの気ィもしれんとんな話で盛りあがんなや・・


「せやでーこーんなボク純情ですーいう顔してホンマは、って、きったなー!!!謙也きったな!」
今更気づいたんかい・・てかんな顔すんなやたかがコーヒーと牛乳やんけ・・別にお前にもお前ん机にもかかっとらんやないか・・


「ホレー拭き拭き」
いやいや千歳サン、それ俺のタオルっすから。何笑顔ですすめとるんですか。ありがとうのあり、まで出よったわ。アホ。大阪人やからておおきにーなんか言う思うたら大間違いやぞ東京人、んなもん商店街のおばちゃんと侑士ぐらいやで言うとんの。アホちゃうか。ほんまもなにかにつけて侑士んこと誉めよるし。ほら今も侑士やったら、やて。なんやねん。さすが東京人やわーとか、ただのおのぼりさんやんけあんな奴。テニスも俺んのが強いわい。アホ。あいつが今ダテで丸メガネつけよるんにチクったろか。ほんま、なんやねんこっちくるときだけ外しよって。「にだけは言わんといてやー頼んますわ謙也さん!」とか、アホか、もうしらんねん言うたろ。にバカにされてまえ。俺がそのメガネ割ったるわ。なんや、、て。馴れ馴れしい。ほんま腹たつ。アホ。



「謙ちゃん・・」
「な、なんや」
「男は責任もって、認知したらなあかんばい」



・・・侑士も千歳ももみいーんなアホじゃ。アホ。アホ。



















あほーてぶつぶつ言いよったら(あれ?もしかしなくてもボク今イタい子?)いつのまにかおっちゃんもおらんようなってて、も隣の席についとって、国語の授業がはじまっとった。黒板の字が三分の一うまっとって、あわててシャーペンを出してノートひろげて、いざ書こうとしたら芯おれた。なんやねんほんま。







「ちょっと謙也ー」
「なんや」
「なあ謙也ってば」
「だからなんやねん」
「何怒っとるんよ」
「怒ってへん」
「怒っとるやんか…ほんま侑士とはえらいちがいやわ」


ほら、またや。ほんっま侑士とかといちいち比べんなや。腹立つねん……………って言おうとしたけどでけへんかった。もしかしなくてもほんまもんのアホは俺かも知らん。







「……あのな謙也」
「……」
「あたしがなんでいちいち侑士の名前出すか知っとう?」
知っとうわアホ。お前が昔っから侑士のこと好きなんも知っとうわ。だって俺は侑士を見てるお前を見てきたんやもん。それぐらい知っとう。やから言わんで。言わんでくれ、















「謙也にもうちょい危機感持ってもらお思て」







「は、?」







「やって謙也ほんまなんもわかっとらんねんもん」
「ちょ、ちょっと待てや」
「あたしは侑士好きやったけど、そんな不毛な、恋?っちゅうの?んなんひきずるつもりなんかずっと前からなかったし、誰が自分のこと好きかなんてことぐらいなあ、女はお見通しなんよ」
え?なんやつまり、最初っから俺の気持ちとかそういうんはばれてて、え、?







「おい、


「じゃ、声出してよんでくれ」
「はーい」



ってオラ三原ァア!!!(国語担当)






が隣の山田に何ページ?ってこそっと聞くんが聞こえた。ぱらっと細っこい指でページめくってが口を開く。






むかし、たけとりのおきなというものありけり



ちょっと待てよ、ほんなら俺、が、その、す、すきやいうことバレてたってことやん。俺だっさ!!俺だっさ!!!何しとんねん俺。頼むわほんま…






なをばさぬきのみやつことなんいいける



でも、これってチャンスやないか?かっこ良かろうが悪かろうが勝ったもん勝ちやて俺が言えたセリフやないけど、でも今しかないかもしれん。おい謙也、おまえ男やろ。小学校の卒業式でも、自分のおばあちゃんの葬式でも、見送りにきた俺らに窓から手降る侑士を見とったときも泣かんかったが、侑士の乗った新幹線が見えんなった瞬間に歯ァ食いしばって泣いたを抱きしめることも手繋いだることも、俺がおるから、って言うこともなんもできんかったあの頃とはちゃうんやろ。根性見せろ。いけドアホー!!!






のやまにまじりてたけをとりつつ



よろずのことに、……………千歳。









は?千歳??
を見上げたら思いっくそ千歳のほう向いとったから俺の聞き間違いやない。え?じゃあなんで千歳??
周りを見たら三原(国語担当)もみんなも千歳のほう向いとった。ちょっと遅れて俺の耳にも着メロが入ってきた。



「んあ?おお、悪りい…」
折りたたんだ体を机からのっそりおこした千歳がなんやふるーいぶあっつーい銀色のケータイとりだして着メロをとめた。てか今どき着メロとか。しかもポップスターて。ヒライケンて。古いわおっちゃん……
てかおっちゃん俺の一大決心の前になんてことしてくれるんや…ほんまおっちゃんいらしやで…






またもとどおり体を折りたたむおっちゃんを見て三原(国語担当)はどーしようもないやっちゃなあ、みたいなかおして溜め息をついて、(オイこの前俺バイブなっただけでめっちゃ怒られたんやけど?!)「ほな気ぃ取り直して、、続き」と言った。









よろずのことにつかいけり



が席に座る。
「なあ
「ん?どしたん」
「あのなあ」
「うん」
「あの、あのな?」
「…なんやのん」
「あ、あの、俺






「じゃあよろづ、の意味をー」
「あ、はーい」









三原アアァア!!!!!!
おんまえ、一度ならず二度までも!!!今なら俺絶対カメハメ波出せる。目から出せる。できるかぎりの憎しみのこもった目で三原をにらみ付けてたけど近眼で老眼で乱視の(多分)三原(国語担当)は俺のカメハメ波に気づくことはなかった。無念や。



が座って、ペンを筆箱に入れながら俺に言うた。



「なあ、さっきの嘘やいうたらどーする?」
「っは?」









「あたしが侑士すきや、って言うたん嘘やって言うたら。最初っからすきなんは謙也だけや、言うたら、謙也どうする?」









がにーと笑って、カタン、と席を立った。え、っ、とおれが聞き返すまもなくチャイムがなって、が晴れやかーな笑顔で、「きりーつ」と言うた。がたがたみんな立つ中で俺だけたたれへん。ていうか、なんやて?なあ、いま、なんていうた?
千歳がこっち向いて笑いよる。口パクで「なんやおもんない」て言うんがわかった。「れーい」頭をさげながら、が言う。「さっきのあれ、ケータイわざとやろ、千歳」頭起こして、みんなわらわら席立ったりするなかで、千歳は言った。「やって、お前らあっさり両思いなるんばおもんなかたい。謙也がかっこよかこと言うんはゆるされんとよー」












蝉が鳴いとった。(、って呼びたいってわけもなく思った。)











2007/07/12