「幸村くんの手は、」 おおきいね。 幸村くんはゆっくりと本から顔を上げた。ごめんね、邪魔しちゃった?ううん、そんなことない。幸村くんはふわりと笑って自分の手を見つめた。 「まあ、テニスやってたしね」 哀しげな声。そんな声も好きだと思ってしまう私はなんてやなやつなんだろう。 「やってた・・って、」 「まぁ今もやってるわけだけど、」なにしろベッドでテニスはできないからなあ。幸村くんはやっぱりいつものように笑った。からりと。 「男の子って女の子の理想を全部持ってるよね」 「・・なんで?」幸村くんはまた笑う。病室の白がその笑顔と同調していて私はなんだかかなしくなる。 「指とか足とか細いし、体重だって身長の割りに軽いし」 「・・そんなもんかなあ、」 「でも俺は女の子ってすごいと思うね」 「・・・子供がうめるから?」 「いや、そうじゃなくて、まあそれもすごいことなんだけど、なんだかふわふわしてるじゃない」 「え?」 「ほら例えばさ、試合とかで勝ったらまぁ男同士抱き合う、っていうのかな、まあなんかそう、するじゃない。でも男ってごつごつしてんだよね。骨とか当たって痛いけど、女の子は違うもんな。ぽわぽわしてて。男と抱きしめあえるんだよ、すごいと思わない?」 「(・・そうなのかなあ)」 「ということで、」 抱きしめていい? 立海オンリー名前変換小説企画、「今日の予定」に出していたものです。カワシマさんおつかれさまでした! |